夏休みの宿題で毎年頭を悩ませるのが読書感想文ではないでしょうか。「何を書けばいいか分からない」「あらすじばかりになってしまう」と困っている小学生は少なくないようです。実は読書感想文には学年に合った「型」があり、その型に沿って書くだけで驚くほどスムーズに仕上がります。
低学年・中学年・高学年の学年別テンプレートから、2026年の課題図書情報、親のサポート法、原稿用紙の使い方、よくあるNG例まで網羅しました。お子さんと一緒に取り組む際のヒントとして活用してみてください。
読書感想文が苦手な子が多い理由と克服のカギ
小学生が読書感想文を苦手とする理由の多くは「何を書けばいいか分からない」という漠然とした不安にあります。学校では「思ったことを書きましょう」と指導されるものの、具体的な手順が示されないまま原稿用紙を渡されるケースが大半です。
文部科学省の2025年度全国学力調査によると、小学6年生の「書くこと」に関する正答率は約62%で、「読むこと」の約72%と比べて10ポイント低い結果でした。つまり、読めても書けないという状態は珍しいことではありません。
克服のカギは「あらすじ」ではなく「自分の心の動き」を書くことです。本の内容を要約するのではなく、「自分はどう感じたか」「自分の体験と比べるとどうか」を軸にすると、その子だけのオリジナルな感想文が生まれます。
読みながらふせんを貼る習慣をつける
おすすめの方法は、実際に試してみると効果的なのが、読みながら「心が動いた場所」にふせんを貼ることです。低学年なら3〜5枚、中学年なら5〜7枚、高学年なら7〜10枚を目安にしてみてください。ふせんには一言メモ(「かわいそう」「自分もこうだった」など)を書いておくと、後から感想をまとめやすくなります。
3色ふせんセット(約200円〜500円)を用意して、色ごとに「びっくり=黄色」「うれしい=ピンク」「考えた=青」と分類する方法も効果的でしょう。使ってみると、子ども自身が感想の「種」を見つけるコツをつかみやすくなります。
読書感想文に役立つ文房具の比較
| 商品 | 価格帯 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ポストイット 強粘着ふせん 75mm | 約350円 | はがれにくく、しっかりメモが書ける | やや厚みがあり本が膨らみやすい |
| コクヨ タックメモ ミニサイズ | 約200円 | 薄型で本に挟んでも邪魔にならない | 書き込みスペースが小さめ |
| サクラクレパス 原稿用紙 200字詰 10枚入 | 約150円 | 清書前の練習用に最適。コスパが良い | 枚数が少ないため複数セット必要な場合も |
| パイロット フリクション 0.5mm | 約230円 | 消して書き直せるため、下書きに便利 | 原稿用紙の清書には向かない(熱で消える) |
学年別テンプレートで型を身につける
読書感想文の構成は学年によって求められる深さが異なります。学年別テンプレートに沿って書くだけで、構成の悩みから解放されます。
低学年(1・2年生)向けテンプレート ― 800字以内
低学年は「気持ち」を素直に書くことが最優先です。
| パート | 内容 | 目安の量 |
|---|---|---|
| 書き出し | 本を選んだ理由(「表紙がかわいかったから」でOK) | 2〜3行 |
| あらすじ | 誰が何をするお話か、3行でまとめる | 3行以内 |
| 心が動いた場面 | ふせんを貼った場面を1〜2つ取り上げ、「どう思ったか」を書く | 8〜10行 |
| 自分のこと | 似た体験や「自分だったらどうするか」 | 5〜6行 |
| おわり | 本を読んで変わったこと・これからやりたいこと | 2〜3行 |
中学年(3・4年生)向けテンプレート ― 1200字以内
中学年では「なぜそう思ったか」の理由づけが求められます。
| パート | 内容 | 目安の量 |
|---|---|---|
| 導入 | 本との出会い+読む前の印象 | 3〜4行 |
| あらすじ | 主人公の状況と大きな転機を5行で | 5行以内 |
| 感想1 | 最も心が動いた場面+理由+自分の体験との比較 | 10〜12行 |
| 感想2 | 2番目に気になった場面+「もし自分だったら」 | 8〜10行 |
| まとめの段落 | 本から学んだこと・生活で実践したいこと | 3〜4行 |
高学年(5・6年生)向けテンプレート ― 1200字以内
高学年ではテーマへの考察と自分の価値観の掘り下げが評価ポイントでしょう。
| パート | 内容 | 目安の量 |
|---|---|---|
| 問いかけ | 本のテーマに関する問い(「友だちって何だろう」等) | 2〜3行 |
| あらすじ | テーマに関わるエピソードだけを抜粋して5行 | 5行以内 |
| 考察1 | 主人公の行動・選択への自分の意見+根拠 | 10〜12行 |
| 考察2 | テーマを自分の日常に当てはめた深掘り | 10〜12行 |
| 結論 | 本を通じて変わった考え方・今後の行動 | 3〜5行 |
2026年 第72回青少年読書感想文コンクール課題図書とおすすめ本

毎年4月に発表される課題図書は、感想文を書きやすいテーマが厳選されています。2026年(第72回)の注目作品を学年別に取り上げます。
低学年におすすめの課題図書
- 『まこちゃんとコトバロボ』村上しいこ/作(佼成出版社・税込1,430円)― ことばの力をテーマにした物語。「自分の気持ちを伝える」体験と結びつけやすい一冊です。
- 『なにかいいことあった?』ミーシャ・アーチャー/作(BL出版・税込1,760円)― 日常の小さな幸せを見つける絵本。「今日あったいいこと」を思い出しながら書けます。
中学年におすすめの課題図書
- 『まだまだここから』宇佐美牧子/作(ポプラ社・税込1,540円)― 諦めずに挑戦するテーマ。運動会や習い事の体験と重ねて書きやすい作品です。
- 『宇宙でウンチ』A.ボンドー=ストーン他/作(あすなろ書房・税込1,650円)― 宇宙×科学の切り口で、男の子にも取り組みやすいテーマになっています。
高学年におすすめの課題図書
- 『ポジション!』高田由紀子/作(岩崎書店・税込1,650円)― チームでの役割と個性がテーマ。部活やクラブ活動の経験と結びつく内容です。
- 『キミの一歩アフリカ』味田村太郎/文(あかね書房・税込1,540円)― 国際理解のノンフィクション。SDGsの学習と連動させた感想も書けます。
課題図書以外でも、角川つばさ文庫や青い鳥文庫の人気シリーズは読書感想文に向いているものが多数あります。書店のフェアコーナーで探すのもおすすめです。
親のサポート法と原稿用紙の使い方
読書感想文で親が果たすべき役割は「先生」ではなく「聞き役」です。子どもの考えを引き出すインタビュアーになるイメージで接すると、自然と子ども自身の言葉が引き出されていくでしょう。
効果的な5つの質問
- 「どの場面が一番好きだった? それはなぜ?」
- 「もし〇〇(主人公)だったら、同じことをする? 違うことをする?」
- 「この話と似たことが自分にもあった?」
- 「読む前と読んだ後で、気持ちは変わった?」
- 「この本を友だちにすすめるとしたら、なんて言う?」
やってはいけないNG行動とその対策
| NG行動 | なぜダメか | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 親が下書きを書いてしまう | 子どもの言葉ではなくなる。審査員も見抜く | 子どもの口頭での感想をメモに取る |
| 「もっとちゃんと書きなさい」と叱る | 書くこと自体が嫌いになる | 「ここの部分、もう少し教えて?」と質問 |
| あらすじを長く書かせる | 感想文がただの要約になる | 「あらすじは3行まで」とルールを決める |
| 完成度を求めすぎる | 時間がかかりすぎて親子ともに疲弊 | 1日30分×3日の分割方式がおすすめ |
原稿用紙の基本ルール
- 題名は最初の行に2〜3マス空けて書きます
- 名前は2行目に、下を1マス空けて書きます
- 段落の始めは1マス空けるのがルールです
- 句読点(「。」「、」)は行の最初に来ないよう、前の行の最後のマスに文字と一緒に入れます
- 会話文の「」は1マス使い、閉じカッコの後は改行するのが基本でしょう
よくある質問

読書感想文に向いている本の選び方は?
課題図書が最も書きやすいですが、自由図書なら「主人公が同年代」「自分の体験と重なるテーマ」の本を選ぶのがコツです。図鑑や実用書より、物語かノンフィクションが感想を書きやすい傾向が見られます。
あらすじはどのくらい書けばいいですか?
全体の10〜15%が目安です。800字の感想文なら80〜120字(3〜4行)程度に抑えましょう。あらすじが長いと「感想」ではなく「要約」になってしまいます。
1日で書き終えるのは難しいですか?
1日で仕上げようとすると親子ともに疲れてしまいます。「1日目:本を読んでふせんを貼る」「2日目:ふせんを見ながら下書き」「3日目:清書」の3日分割がおすすめです。1日あたり30〜60分で無理なく完成させられるでしょう。
課題図書と自由図書、どちらが入賞に有利ですか?
コンクールの入賞率だけで見ると課題図書がやや有利と言われていますが、大きな差はありません。子どもが「書きたい」と思える本を選ぶことが良い感想文への近道です。
親はどこまで手伝ってよいですか?
本選び・質問による考えの引き出し・誤字脱字チェックまでは適切なサポートです。文章の代筆や大幅な書き換えは避けてください。低学年の場合は口頭での感想を親がメモし、子ども自身がそのメモを見ながら書く方法が効果的です。
読書が嫌いな子でも感想文は書けますか?
読書嫌いの子には「薄い本・絵が多い本」から始めるのがポイントです。ページ数が少なくても、深く考えた感想文は高い評価につながるでしょう。小学生向け読書ガイドブック(約800円〜1,500円)は興味のあるジャンルから本を見つける手助けになります。
書き出しがどうしても思いつかない場合は?
定番の書き出しパターンを3つ紹介します。(1)「この本を読んだとき、最初に思ったのは〜でした」(2)「〇〇という場面を読んで、胸がドキドキしました」(3)「もし自分が〇〇だったら、と何度も考えました」。どれか1つを選んで続きを書くと、自然に筆が進むことが多いようです。
提出前に確認すべきポイントは?
チェックリストを用意しました。(1)あらすじが全体の3分の1を超えていないか (2)「おもしろかった」だけで終わっていないか (3)自分の体験や考えが2箇所以上入っているか (4)誤字脱字はないか(声に出して読むと見つけやすい) (5)指定の文字数に収まっているか。この5項目を親子でチェックすれば安心です。
読書感想文を「楽しい夏の思い出」に変えるために

読書感想文は「宿題」として義務的に取り組むと、子どもにとって苦痛になりがちです。「本について親子で話す時間」と捉えると、コミュニケーションのきっかけにもなります。
まずは図書館や書店で子どもと一緒に本を選ぶところから始めてみてください。第72回青少年読書感想文全国コンクールの応募締切は各学校で異なりますが、多くの学校で9月上旬が提出期限となっています。8月中旬までに下書きを終えておくと余裕を持って仕上げられるでしょう。
テンプレートを活用して「書けた!」という達成感をお子さんに味わわせてあげてください。その成功体験が、来年以降の読書感想文への自信につながります。
